このページではSoluVisionの主要機能の1つである溶解度パラメータの距離Raに基づいた親和性の定量評価による溶媒探索に関する取り扱い方法を記載しています。
この機能を使用するためには、対象となる材料カテゴリ(例:有機小分子)を選択し、溶媒探索のボタンをクリックします。溶媒の探索機能では物質の数が1種類、または2種類に対応しています。以降では、物質の数が1種類の場合から説明します。
SoluVisionでは、対象となる材料と溶媒の溶解度パラメータから網羅的に溶解度パラメータの距離Raを計算することで、その親和性を定量的に評価しています。
そのため、SoluVisionの溶媒の探索では、対象となる材料の溶解度パラメータを入力します。入力方法としては、これまでの計算結果を「計算リストから検索」で選択する方法と、手動で入力する方法の2種類が用意されています。「計算リストから検索」した場合、それまでの物質情報を引き継ぐので、こちらを推奨しています。
続いて、ターゲット距離(tR)の設定を行います。ターゲット距離tRでは、対象となる材料を中心にと溶解度パラメータ距離Raがどの程度離れた溶媒を探索するかを示すパラメータになります。
tR=0の場合、対象材料と最も近い溶解度パラメータを持つ溶媒、すなわち「良溶媒」に近い候補が提案されます。tRの値を大きくすると、材料の溶解度パラメータから離れた溶媒、すなわち「貧溶媒」に近い候補が抽出されるため、目的の親和性を有する溶媒のスクリーニングに有用です。
このように、溶解度パラメータの正確な入力とtRの適切な設定が、探索結果の精度に大きく影響します。
溶媒データセット選択次に、探索する溶媒の範囲を定めるための溶媒データセットの選択になります。SoluVisionでは、利用しているプランに応じて探索可能な溶媒数が異なります。
FreemiumやBasicプラン:最大18種類StandardやProfessionalプラン:最大198種類(2025年3月時点:溶媒一覧)
またデフォルトのデータセットを使用するだけでなく、実験や測定でよく使う溶媒を事前に登録したオリジナルのデータセットを選択することも可能です。これにより、探索時に自分の実験環境に合わせた溶媒から探索範囲を設定することができます。
単一/混合溶媒の設定SoluVisionでは単一溶媒だけでなく、混合溶媒(体積比5%刻み)での溶媒も探索することができます。これは、混合溶媒が正則溶液の場合、溶解度パラメータが下記の式で求めることができることを利用しています。すなわち、混合溶媒に含まれる、それぞれの溶媒の溶解度パラメータと体積比から計算することができます。
さらに、混合溶媒を探索する場合は、1つの溶媒に使う溶媒を指定して、混合溶媒を探索するオプションも用意されています。これにより、例えば「必ずこの溶媒は使いたい」といった要望がある場合でも柔軟に対応可能です。あとは、溶解度パラメータの計算と同様に、物質情報と保存情報を入力すれば、計算を実行することができます。
*但し、SoluVisionでは混合溶媒をすべて正則溶液として、取り扱っている点にご注意ください。
溶媒探索の計算結果は、計算結果画面で確認することができます。解析画面と3D Map上では、以下の点が確認できます。
候補溶媒:対象となる材料と各溶媒の溶解度パラメータ距離Raとターゲット距離tRの情報をもとに、近い値だったものから順番に最大8種類の候補溶媒が提示されます。
3D Map:対象となる材料と候補溶媒の三次元の溶解度パラメータ(δd, δp, δh)が3D Map上で表示されます。これによって材料と溶媒の親和性が直感的に把握できます。
この解析結果の確認により、候補溶媒の中から実際の実験に適した溶媒を効率的に絞り込むことができます。
SoluVisionは、複数の溶質(材料)を同時に溶解させる良溶媒の探索も可能です。この場合では、2種類の材料の溶解度パラメータを入力し、同様に溶媒の探索範囲を設定することで、両方に溶媒に対して親和性の高い溶媒候補が提示されます。
すなわち、3D Map上で2つの異なる材料のHansen Sphere球が重なり合う部分に注目することで、双方の材料に対して、親和性が高い溶媒を見つけることができます。ただし、2種類の材料の溶解度パラメータを入力する際、それぞれの材料の相互作用距離R0は溶媒に溶ける量を示すものではないことに注意が必要です。