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Hansen Double Sphere法

Hansen Double Sphere法

Hansen溶解度パラメータ(HSP)は、材料と溶媒の親和性を評価するための指標であり、多くの材料の溶解性や分散性の評価に活用されてきました。しかしながら、界面活性剤のような両親媒性分子においては、分子内に親水部と疎水部を有するため、単一のHansen Sphere法(単球モデル)では十分に説明できません。

そこで、新たな手法としてHansen Double Sphere法が提案されました。この方法では、従来のHansen Sphere法を拡張し、2つのHansen球を用いることで、親水部と疎水部の両方の特性が表現されます。すなわち、両親媒性分子は1つのHansen溶解度パラメータではなく、2つのHansen溶解度パラメータを持つと考えられています。

surfactant
界面活性剤とミセル構造

Hansen Double Sphere法を用いたHSP算出

Hansen Double Sphere法の場合も、基本的な実験手順はHansen Sphere法と同じです。

1. 実験:任意物質と溶媒を混合させ、「良溶媒」と「貧溶媒」に分類
2. 3次元プロット:各溶媒のHSP(δd,δp,δh)を座標としてプロット
3. 2つの球の描写:良溶媒が球の内部、貧溶媒が球の外部となる2つのHansen球を探索

これら手順によって得られた2つの球の中心座標が両親媒性分子のHSPと定義されています。また、球の半径(R0)は溶解性する範囲を示します。

hansen double sphere
Hansen Double Sphere法(2球)

Hansen Double Sphere法のポイント

この方法によって、分子内に親水部と疎水部を有する両親媒性分子におけるHSPを求め、各物質との両親媒性分子のどちらか一方のHSPと値を比較することで親和性を推測することができます。

これにより、例えば、乳化剤としての界面活性剤を加えた際の混和性の評価や、分散剤として界面活性剤を用いた際のナノ粒子の分散性などの評価に活用することができます。

他方、Hansen Double Sphere法には、単一の球のHansen Sphere法と比較して、より多くの実験データが必要であり、適切な溶媒を選定することが計算結果の精度においては、重要であることを認識する必要があります。

まとめ

Hansen Double Sphere法は、界面活性剤や両親媒性分子の特性をよりHansen溶解度パラメータを用いて、適切に評価するための手法です。これにより界面活性剤を用いる場合に応用が期待されます。他方、この手法はHansen球と比較して多くの実験数が求められます。