Cover率とFitting率

溶解度パラメータを実験値から求める

このページでは、Hansen Sphere法を用いて、実験値から溶解度パラメータを求めた際に得られた計算結果に対する信頼性の指標として、Cover率(カバー率)とFitting率(フィッティング率)について、記載しています。

これら2つの評価指標は、精度の高く溶解度パラメータを求めるための重要な目安となるだけでなく、実験に用いる適切な溶媒や良溶媒と貧溶媒の判定結果を考察する目安として、SoluVisionに実装されています。

「実験の適切さ」を評価するCover率(カバー率)

Hansen Sphere法では、任意の物質と溶媒を実験的に混合させ、それぞれの溶媒を「良溶媒」と「貧溶媒」に分類することで、溶解度パラメータを計算する手法です。

一方、実験で使用した溶媒が、溶解度パラメータとして類似している場合など、溶媒の選択に偏りがある場合は、適切な溶解度パラメータが求められていない可能性があります。このような、「実験の適切さ」を評価する指標として、SoluVisionでは独自に、カバー率という評価指標を定義しています。

カバー率は、計算から得られた溶解度パラメータを中心として、8つの各象限毎に「良溶媒」と「貧溶媒」が存在する個数を評価する係数と「良溶媒」と「貧溶媒」の偏りを評価する係数の2つの係数が存在しており、それらの乗数をカバー率として定義しています。

数式

このカバー率の値が高ければ高いほど、より信頼性の高い溶解度パラメータの値が得られているということを示しています。すなわち、”数多く”、”幅広い範囲の溶媒”を実験することで数値が上昇するような評価値となっています。

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カバー率の考え方について

「判定結果の適切さ」を評価するFitting率(フィッティング率)

Hansen Sphere法では、実験的に得られた「良溶媒」と「貧溶媒」の情報を入力し、SoluVisionの提供するアルゴリズムによって、「良溶媒」が球の内部、「貧溶媒」が球の外部となる最小の球を探索することで、溶解度パラメータを求めることができます。

一方、「良溶媒」と「貧溶媒」の判定に、実験者の主観が含まれている場合や、化学反応などの溶解度パラメータでは考慮できない事象を伴うような場合、Hansen Sphere球の内部に「貧溶媒」、もしくは球の外部に「良溶媒」が存在することがあります。このような、実験結果の「判定結果の適切さ」を評価する指標として、SoluVisionでは独自にフィッティング率という評価指標を定義しています。

フィッテイング率は、下記の式で示すように、「良溶媒」に対する項と「貧溶媒」に対する項の2つの項が存在しています。すなわち、全ての「良溶媒」がHansen球の内側に、全ての「貧溶媒」がHansen球の外側に存在する場合に、フィッテイング率が100%となります。そのため、このフィッテイング率が高いほど、より信頼性の高い溶解度パラメータが得られているということを示しています。

数式

フィッティング率を高めるためには、実験者の任意性を最小化するために、分光法や粒径測定法などの客観的な手法を併用して、「良溶媒」と「貧溶媒」の判定を行ったり、対象となる物質と化学反応を起こさない溶媒を選定することを考慮する必要があります。

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フィッティング率の考え方