前述の文献に記載されている消泡剤のうち、Af-AとAf-Cとラベルされた消泡剤のSP値を、PELと同様に評価します。文献にならい、上記の消泡剤のSP値は1つとして計算を行いました。
注目するポイントは、3Dマップ上におけるAf-AとAf-CのSP値の位置とそれらを中心とするグレーの溶解球のカバー範囲の違いです。それぞれの良・貧溶媒の違いが示すように、各種溶媒および母材に対しては親和性が異なることが示唆されます。
前述の文献によれば、PELの作る気泡を消泡する場合、PELの親水性の部分と消泡剤の親和性が高いことが重要です。PELの親水性の部分のSP値と消泡剤のSP値の距離が近いほど、親和性が高いことが示唆されます。
この結果は、アプリ内で下記の共有コードを入力すると参照可能です。Af-A:01J2QNB3QD3806RKH2XCNVVPX0Af-C:01J2QNBZMTQTFPEJ2EB8AV905J
これらの結果と、PELの親水性の部分のSP値を比較し、消泡能力と溶解度パラメータの距離に相関があるか確認します。
PELの親水性の部分とAf-A、Af-CそれぞれのSP値の距離をそれぞれ計算します。3Dマップ上におけるSP同士の距離は右下の三角定規のアイコンをクリックし「測距モード」にすることで算出できます。
測距の結果、PELとAf-Aの距離は8.0、Af-Cの距離は6.7で、Af-CのほうがPELの親水性の部分とのSP値の距離が近く、消泡能力が相対的に高いことが示唆されました。
前述の文献によれば、消泡能力の評価結果はAf-AよりもAf-Cのほうが高いと評価されています。このように、3Dマップ上における材料同士のSP値と比較することで、材料同士の相性を定量的に評価して添加剤の選定を行うことが可能です。
今回は界面活性剤について焦点を当てましたが、SP値が計算できれば材料同士の親和性を評価することができます。粒子材料と樹脂の系や、ゴムへの添加剤の親和性、イオン液体の評価等、様々な系における親和性を視覚的に評価することができます。