医薬・農薬・化粧品などの開発現場では、薬効成分を高濃度に溶解する溶媒が必要になることはありませんか?
本記事では、上記のような業界における研究開発を想定し、薬効成分の1つであるビタミンCを高濃度で溶解するための溶媒のスクリーニング評価を、一切の実験を行わずに予測してみたいと思います。
医薬・農薬・化粧品などの開発現場では、薬効成分を高濃度に溶解する溶媒が必要になることはありませんか?
本記事では、上記のような業界における研究開発を想定し、薬効成分の1つであるビタミンCを高濃度で溶解するための溶媒のスクリーニング評価を、一切の実験を行わずに予測してみたいと思います。
まずはビタミンCの溶解度パラメータを分子構造から推定して求めます。分子構造の入力が複雑で面倒な場合は、SMILES記法を用いることもできます。(ビタミンCのSMILES: C([C@@H]([C@@H]1C(=C(C(=O)O1)O)O)O)O )
計算結果を確認すると、溶解度パラメータは(dD:18.5, dP:14.8, dH:26.1)と推定されました。ビタミンCはOH基が多いので、水素結合項(dH)が大きめに出ています。ビタミンCは水溶性と知られていますので、このような結果が得られたと考えられます。
求めた溶解度パラメータから、良溶媒の探索を行います。今回はstandardプラン データセットv1.0で探索できる溶媒74種類から、最もビタミンCを溶解すると予測される単一溶媒を選定します。
結果、SoluVisionが予測した最適溶媒は、エチレングリコールでした。ビタミンCとの溶解度パラメータの距離が最も近いエチレングリコールが、最もビタミンCを溶解すると予測されます。その他にもアルコール系の溶媒も複数提案されています。ちなみに、ロート製薬株式会社の研究結果では、ビタミンCを高濃度溶解する基材として、ポリエチレングリコールを選定されています(参考:こちら)。
このように、実験をする前に良溶媒となりうる溶媒を一定絞り込むことで、実験回数を減らし、検討時間を大幅に減らすことが可能です。今回の事例では単一溶媒のみを扱いましたが、混合溶媒を探索範囲に設定することで、さらに詳細な検討が可能です。ぜひご自身の扱う材料で試してみてください。
SoluVisionの導入効果、ユーザーの声をまとめた総合カタログを公開。 業界別の活用シーンや導入ワークフロー、溶解度パラメータ(sp)一覧も掲載。 研究開発における「組み合わせ」を、“勘”から“定量的な評価軸“へと変える。——その第一歩をぜひご覧ください。